気が付けば・・・

自分に子供ができる前は

まったく無縁の存在であったはずだ

メディアに露出するそれを

当時の私はやや冷やかに

一定の距離を保ちつつ眺めたりもした

そう、まるで自分の人生には無関係であるがごとく

思い返せば

あの頃からすでに

その魔の手が

忍び寄りつつあったのだ

そして

娘が生まれたその瞬間から

それは始まった・・・

親が最初に意識的にそうするように仕向けるのか、

子供がそれを求めるのか

いや、

恐らくはそのことすらも

奴らの意図するところであったのかもしれない

私が不審に思い

距離を置くべきではないかと考えた時もあったのだが

計画的に、しかしごく自然に

奴らはあらゆる手段を使って刺客を送り込んできた

時には私の肉親である両親さえ利用して

愛娘の心はすでに

奴の手に落ちた

娘の意識の中の洗脳を

解く手立ては今のところない

かくいう私も

気が付けば奴の思想に侵され

心と体に刻み込まれた

恐怖のメロディ

娘のためと思い

耐え忍んだ日々

私のアイデンティティは

すでに崩れ去ったのであろう

その生みの親は先日、

夢の国に旅立ったというのに

奴の牙城は崩れるどころか

より強固になっていく・・・

周りを見渡せば、

テレビの番組表にも

ビデオの録画一覧にも

ネットを開けばyou○ubeの再生リストに、

寝室のベッドの上にはぬいぐるみ

食卓の上にはコップにお箸

キッチン戸棚にはふりかけやらなんやら

冷蔵庫を開ければパックのジュース

洗面所には歯ブラシ

バスルームにはシャンプーハット

リビングには我が物顔で滑り台が居座り

ブランコがその横に控える

クローゼットはすでに空き箱に占拠された

もはや我が家に

奴のいない安住の地はない・・・

すでに我が家は

ア○パンマンとその一味に支配されているのだ・・・。

掲載日:2013年10月28日